「葬儀社は、どこに頼んでも同じなの?」
「広告に載っている金額だけで決めても大丈夫?」
葬儀社を利用する機会は少ないため、どのように選べばよいのか迷ってしまいますよね。突然のことで気持ちに余裕がない中、短い時間で葬儀の内容や費用を決めなければならないこともあります。
私は葬儀スタッフとして、事務を含め約10年間パートで働いていました。ご遺族と接する中で感じたのは、葬儀社を選ぶときは、料金の安さだけでなく、見積書の分かりやすさや担当者の説明、追加料金の条件なども確認することが大切だということです。
この記事では、元葬儀スタッフの経験をもとに、葬儀社を選ぶ前に確認したい5つのことや、信頼できる担当者を見分けるポイントを紹介します。
葬儀社を悪者と決めつけるのではなく、家族が納得できるお別れをするための参考にしていただけたらと思います。
葬儀社選びで迷いやすい理由
葬儀社を利用する機会は、人生の中でもそれほど多くありません。そのため、サービス内容や費用を比べる基準が分からず、どこへ依頼すればよいのか迷う方も多いと思います。
さらに、身近な方を亡くした直後は、気持ちの整理がつかないまま、搬送先や葬儀の日程、式場、祭壇などを短い時間で決めなければならないことがあります。普段なら確認できることでも、その場では担当者に勧められるまま決めてしまうこともあるでしょう。
また、同じ「家族葬」という名前でも、葬儀社によってプランに含まれる内容は異なります。広告に表示されている金額だけでは、搬送や安置、式場使用料、料理、返礼品などを含めた最終的な金額が分からない場合もあります。
地域密着型か大手かという会社の規模だけで、良し悪しを決めることもできません。大切なのは、家族の希望を丁寧に聞き、内容と費用を分かりやすく説明してくれるかどうかです。
焦って一社に決める前に、何を確認すればよいのかを知っておくだけでも、葬儀社を選びやすくなります。
国民生活センターでも、広告で見た料金と実際の契約額が大きく異なったなど、葬儀サービスの料金トラブルについて注意を呼びかけています。
葬儀社を選ぶ前に確認したい5つのこと
葬儀社を選ぶときは、広告に書かれた金額だけで判断せず、実際にどのようなサービスを受けられるのかを確認することが大切です。
ここでは、私が葬儀スタッフとして働いた経験から、契約前に確認しておきたい5つのことを紹介します。
広告の料金に何が含まれているか
「家族葬○万円から」「追加料金不要」などの広告を見ると、その金額だけで葬儀ができるように感じるかもしれません。
しかし、広告に表示されているのは基本プランの金額であり、すべての費用が含まれているとは限りません。葬儀社やプランによって内容が違うため、次の項目が含まれているか確認しましょう。
・寝台車などの搬送費
・ご遺体の安置料
・ドライアイス代
・式場使用料
・祭壇、棺、骨壺などの費用
・火葬料金
・スタッフや司会者の費用
・料理や返礼品の費用
特に搬送費や安置料、ドライアイス代は、距離や日数によって追加される場合があります。
担当者には「このプランだけでは足りないものはありますか」「最終的には、どのくらいの金額になりそうですか」と聞いてみましょう。
質問に対して、含まれるものと含まれないものを分けて説明してくれるかどうかも、葬儀社を選ぶ判断材料になります。
見積書に項目・数量・単価が書かれているか
葬儀社から見積書を受け取ったら、総額だけを見るのではなく、何にいくらかかるのかを一つずつ確認しましょう。
「葬儀費用一式」「諸経費一式」など、まとめて書かれている項目があれば、具体的に何が含まれているのか説明してもらいます。
見積書では、次の点を確認しておくと安心です。
・商品やサービスの名称
・一つあたりの金額
・必要な数量や日数
・消費税が含まれているか
・基本プランに含まれるもの
・希望によって追加したもの
料理や返礼品などは、人数によって最終的な金額が変わることがあります。また、安置日数やドライアイスの使用日数が延びた場合も、追加料金が発生する可能性があります。
「この見積もりから金額が変わるとしたら、どの項目ですか」と担当者に聞いておくと、追加費用が発生する条件を把握しやすくなります。
見積書はその場で見るだけではなく、必ず受け取り、家族と一緒に確認しましょう。分からない項目について質問したときに、分かりやすく説明してくれるかどうかも大切な判断材料です。
追加料金が発生する条件
見積書を作成した時点では分からなかった事情によって、葬儀費用が変わることがあります。
例えば、希望する火葬場や式場の予約状況によって葬儀までの日数が延びると、安置料やドライアイス代が追加される場合があります。また、ご遺体を搬送する距離や時間帯によって、搬送費が変わる葬儀社もあります。
追加料金が発生しやすいのは、次のような場合です。
・葬儀までの安置日数が延びた
・搬送距離が予定より長くなった
・深夜や早朝の搬送になった
・参列者が増えて料理や返礼品を追加した
・祭壇、棺、供花などを変更した
・予定していなかったスタッフや設備が必要になった
ただし、どの項目で追加料金が発生するかは、葬儀社やプランによって異なります。
契約前に「どのような場合に追加料金がかかりますか」「追加される場合は、いつ説明してもらえますか」と確認しておきましょう。
追加や変更が必要になったとき、家族の了承を得てから進めてくれるかどうかも大切です。口頭の説明だけでなく、変更後の金額を書面で確認できる葬儀社であれば、費用への不安を減らしやすくなります。
担当者が分かりやすく説明してくれるか
葬儀の打ち合わせでは、普段聞き慣れない言葉や、短い時間で決めなければならない項目が多く出てきます。そのため、担当者の説明が分かりやすいかどうかは、葬儀社を選ぶうえで大切なポイントです。
信頼できる担当者は、ただ高いプランを勧めるのではなく、家族の希望や予算を聞いたうえで、複数の選択肢を示してくれます。
次のような点を確認してみましょう。
・専門的な言葉を分かりやすく説明してくれる
・必要なものと、希望で追加するものを分けて説明する
・質問に対して具体的に答えてくれる
・勧める理由や金額を説明してくれる
・変更した内容を見積書に反映してくれる
葬儀の日程や火葬場の予約など、早めに決める必要があることもあります。しかし、その場合でも「なぜ今決める必要があるのか」を説明してもらうことが大切です。
私が現場で感じたのは、ご遺族の話を急がせず、一つずつ確認しながら進める担当者ほど、家族も安心して相談できるということでした。
説明を聞いても納得できないときは、その場ですぐに決めなくても構いません。家族と相談する時間を取れるかどうかも、担当者の姿勢を見る判断材料になります。
支払い・変更・キャンセルの条件
見積書の内容だけでなく、支払い方法や支払期限も契約前に確認しておきましょう。
葬儀費用の支払い方法は、現金、銀行振込、クレジットカードなど、葬儀社によって異なります。分割払いに対応している場合もありますが、すべての葬儀社で利用できるとは限りません。
確認しておきたいのは、次のような内容です。
・支払い期限はいつか
・利用できる支払い方法
・前金や申込金が必要か
・追加料金はいつ精算するのか
・プランを変更できる期限
・キャンセル料が発生する時期と金額
料理や返礼品、供花などは、注文後の変更や取り消しができない場合があります。人数がまだ決まっていないときは、数量をいつまで変更できるのかも聞いておくと安心です。
互助会や葬儀保険などを利用する場合は、どこまで費用に充てられるのか、別に支払う金額はいくらになるのかも確認しましょう。
変更やキャンセルの条件は、口頭の説明だけで済ませず、契約書や規約に書かれている内容を確認することが大切です。分からない部分があれば、そのままにせず担当者へ質問しましょう。
葬儀社を比較するときに気をつけたいこと
葬儀社を比較するときは、金額の安さだけでなく、プランの内容や担当者の対応も含めて確認することが大切です。
事前に検討できる時間がある場合は、複数の葬儀社から話を聞いてみると、それぞれの違いが分かりやすくなります。
同じ条件で見積もりを依頼する
葬儀社ごとに違う条件で見積もりを取ると、正しく比較することができません。
見積もりを依頼するときは、できるだけ同じ希望を伝えましょう。
・希望する葬儀の形式
・参列者のおおよその人数
・利用したい式場や地域
・宗教や宗派の希望
・料理や返礼品の有無
・祭壇や棺の希望
・安置場所の希望
例えば、一方は料理や返礼品を含み、もう一方は含んでいない場合、総額だけを見て安い葬儀社を判断することはできません。
見積書を並べて、同じ項目が入っているか、数量や日数が同じかを確認しましょう。分からない項目には印をつけ、担当者に質問します。
すべての希望が決まっていなくても、「家族だけで小さく行いたい」「総額をこの予算内に収めたい」など、現時点で分かることを伝えれば大丈夫です。
同じ条件で比較することで、金額だけではなく、説明の分かりやすさや提案内容の違いも見えてきます。
安さだけで決めない
葬儀費用は家計への負担も大きいため、予算を考えて選ぶことはとても大切です。ただし、表示されている金額の安さだけで葬儀社を決めると、必要なものが含まれていなかったり、後から追加費用が発生したりすることがあります。
反対に、見積金額が高いからといって、必ずしも希望に合った葬儀になるとは限りません。
比較するときは、次の点を一緒に確認しましょう。
・必要な項目を含めた総額
・追加料金が発生する条件
・式場や安置場所の利用条件
・担当者の説明や対応
・家族の希望が反映されているか
一見高く見える見積書でも、必要なものが最初から含まれている場合があります。安く見える見積書でも、料理や返礼品、火葬料金などを加えると総額が変わることがあります。
大切なのは、高いプランを選ぶことではありません。家族が大切にしたいことと、費用を抑えたい部分を分けて考えることです。
「祭壇はシンプルにしたい」「料理はきちんと用意したい」など、希望の優先順位を担当者に伝え、予算内で納得できる内容を提案してくれる葬儀社を選びましょう。
会社の規模より対応内容を確認する
葬儀社には、全国や広い地域で営業する大手から、地域に根差した会社まで、さまざまな形があります。
地域密着型は、地元の火葬場やしきたりに詳しい場合があります。一方、大手は、窓口やサービスの仕組みが整っている場合があります。ただし、会社の規模だけで対応の良し悪しを判断することはできません。
次のような内容を確認してみましょう。
・希望する地域や式場に対応しているか
・搬送や緊急時の連絡先が分かりやすいか
・相談から葬儀当日まで誰が担当するのか
・担当者が不在のときも内容が引き継がれるか
・地域の慣習や宗教・宗派について相談できるか
・葬儀後の手続きについて相談できるか
インターネットの葬儀サービスを利用する場合は、相談を受ける会社と、実際に葬儀を行う会社が異なることもあります。「当日はどの葬儀社が担当しますか」と確認しておくと安心です。
私が現場で感じたのは、会社の知名度よりも、ご家族の希望がスタッフ間で共有され、説明した内容を最後まで守ってくれることが大切だということです。
地域密着型か大手かだけで決めず、自分たちが希望する葬儀に対応できるか、安心して相談できるかを見て選びましょう。
元葬儀スタッフが感じた信頼できる葬儀社の特徴
私は葬儀スタッフとして約10年間働き、多くのご遺族と接してきました。
葬儀の形や大切にしたいことは、家族によって異なります。決まったプランをそのまま勧めるのではなく、ご遺族の話を聞いたうえで一緒に内容を考えてくれるかどうかが大切です。
ここでは、私が現場で感じた信頼できる葬儀社の特徴を紹介します。
遺族の希望と予算を先に聞いてくれる
信頼できる担当者は、最初から商品やプランの説明だけをするのではなく、まず家族の希望を聞いてくれます。
例えば、次のようなことです。
・どのようなお別れにしたいか
・参列者は何人くらいになりそうか
・家族だけで行いたいか
・故人が希望していたことはあるか
・大切にしたいものは何か
・予算はどのくらいか
葬儀の予算を伝えることに、遠慮や後ろめたさを感じる必要はありません。予算が分からなければ、担当者も家族に合った提案をしにくくなります。
「できるだけ費用を抑えたい」「この金額を超えないようにしたい」と率直に伝えて大丈夫です。
家族の希望と予算の両方を聞き、その範囲内で必要なものを考えてくれる担当者であれば、落ち着いて相談しやすくなります。
必要なものと選べるものを分けて説明する
葬儀の打ち合わせでは、多くの商品やサービスを短い時間で選ぶことになります。
その中には、搬送や安置、棺、火葬の手続きなど、葬送を進めるために基本的に必要なものがあります。一方で、祭壇や棺の種類、供花、料理、返礼品などは、家族の希望や参列者の人数に合わせて選べるものです。
信頼できる担当者は、必要なものと、希望によって追加・変更できるものを分けて説明してくれます。
説明を受けるときは、次のように質問してみましょう。
・これは必ず必要なものですか
・基本プランに含まれていますか
・別の種類や価格帯はありますか
・外した場合、葬儀にどのような違いがありますか
・追加すると総額はいくらになりますか
オプションは、すべて不要というわけではありません。故人らしさを表したり、家族が大切にしたいお別れを実現したりするために、必要と感じるものもあります。
大切なのは、「一般的だから」という理由だけで決めるのではなく、家族が内容と金額に納得したうえで選ぶことです。
必要性や選択肢を分かりやすく説明し、家族の判断を尊重してくれる葬儀社であれば、安心して相談しやすくなります。
契約や決断を急がせない
葬儀では、搬送先や火葬の日程など、早めに決めなければならないことがあります。一方で、祭壇や棺の種類、料理、返礼品など、家族で相談してから決められるものもあります。
信頼できる担当者は、急いで決める必要があるものと、後から変更できるものを分けて説明してくれます。
「今日中に決めてください」と言われた場合は、次のように確認してみましょう。
・なぜ今日中に決める必要があるのか
・後から内容を変更できるか
・変更した場合に料金はかかるか
・家族と相談する時間を取れるか
・いつからキャンセル料が発生するか
火葬場や式場の予約状況など、期限がある場合には、その理由も説明してもらいます。
一方で、「皆さんこちらを選んでいます」「今決めないと、この価格ではできません」などと言われ、内容を十分に理解できないまま契約を求められた場合は、一度立ち止まりましょう。
一人で判断するのが不安なときは、家族や親族にも打ち合わせに参加してもらうと安心です。
葬儀はやり直すことができません。家族が内容と費用に納得できるよう、必要な説明と考える時間を与えてくれる葬儀社を選びましょう。
急なときに慌てないために家族で話しておきたいこと
元気なうちから葬儀について話すことに、抵抗を感じる方も多いと思います。
しかし、何も決まっていない状態で突然葬儀が必要になると、悲しみの中で多くのことを判断しなければなりません。すべてを細かく決める必要はありませんが、家族の考えを少し共有しておくだけでも安心です。
例えば、次のようなことを話しておきましょう。
・家族葬など希望する葬儀の形
・連絡してほしい親族や友人
・付き合いのある寺院や宗派
・葬儀にかけられる予算
・加入している互助会や保険
・遺影に使いたい写真の保管場所
・相談したい葬儀社や連絡先
話し合った内容は、ノートやスマートフォンなど、家族が確認できる場所に残しておくと安心です。状況や考えが変わったときは、その都度書き直して構いません。
葬儀について話すことは、すぐに何かを決めるためではありません。家族の負担を少しでも軽くし、本人の希望を大切にするための準備です。
葬儀の事前相談で確認しておきたい内容は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
「葬儀の事前相談で確認したい3つのこと|元葬儀スタッフが費用の見方を解説」
まとめ|納得できる説明がある葬儀社を選ぼう
葬儀社を選ぶときは、広告の金額や会社の知名度だけで判断せず、サービスの内容や担当者の説明まで確認することが大切です。
契約前には、次の5つを確認しましょう。
・広告の料金に何が含まれているか
・見積書に項目、数量、単価が書かれているか
・どのような場合に追加料金が発生するか
・担当者が分かりやすく説明してくれるか
・支払い、変更、キャンセルの条件
安いプランが悪いわけでも、高いプランなら必ず安心というわけでもありません。家族が大切にしたいことと、費用を抑えたい部分を整理し、希望に合った内容を選びましょう。
葬儀について質問することは、葬儀社を疑うことではありません。家族が納得できるお別れにするために必要な確認です。
私は葬儀スタッフとして働く中で、内容と費用を一つずつ確認できたご家族ほど、落ち着いて葬儀に向き合えると感じてきました。
すべてを一度に決める必要はありません。元気なうちに家族で少し話し合い、必要であれば葬儀社へ相談してみてください。
この記事が、後悔の少ない葬儀社選びの参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。