「葬儀パートでは、ご遺族にどのような言葉をかければよいの?」
「受付や電話で失礼な言い方をしてしまわないか不安…」
葬儀の仕事へ応募するとき、仕事内容と同じくらい気になるのが言葉遣いです。普段の接客とは雰囲気が異なるため、完璧な敬語や葬儀特有の言葉を最初から覚えなければならないと思うかもしれません。
私は50代で未経験から葬儀関係のパートを始め、式典スタッフと事務の両方を経験しました。基本の言葉遣いはマニュアルで確認し、3~4日ほどで自然に言えるようになったと思います。以前のホテルや飲食店での接客経験も役立ちました。
実際に大切だったのは、難しい言葉を並べることより、ゆっくり、はっきり、穏やかに話すことです。分からないことは勝手に判断せず、担当者へ確認しました。
この記事では、ご遺族・参列者・住職への声かけ、受付と座席案内、葬儀依頼の電話で私が実際に使った言葉、避けたい表現、言葉以外の所作を紹介します。
言葉遣いや宗教上の表現は、会社、地域、宗教・宗派によって異なります。この記事は私の勤務先での体験です。実際の仕事では、勤務先のマニュアルと担当者の指示を優先してください。
結論:完璧な敬語より丁寧で分かりやすい対応が大切だった
私が葬儀パートで意識した基本は、次の5つです。
- 行動も話し方も、ゆっくり丁寧にする
- 年配の参列者にも聞こえるよう、はっきり話す
- 表情は暗く作りすぎず、穏やかに保つ
- 分からないことは勝手に答えず、担当者へ確認する
- ご遺族へ無理に励ましの言葉をかけず、必要な案内をする
文化庁の「敬語の指針」でも、敬語は相手やその場を尊重し、円滑に意思を伝えるための表現とされています。葬儀の現場でも、言葉だけを難しくするより、相手が安心して動ける伝え方が必要だと感じました。
言葉遣いと合わせて確認したい制服や髪型の決まりは、葬儀パートの服装は?制服・靴・髪型と身だしなみの決まりで紹介しています。
葬儀パートで実際に使った基本フレーズ一覧
私が式典スタッフと事務の仕事で使っていた言葉を、場面別にまとめました。
| 場面 | 実際に使った言葉 | 意識したこと |
|---|---|---|
| ご遺族への最初の挨拶 | お世話になります | 穏やかに短く伝える |
| 移動の案内 | こちらにお願いします | 指差しせず手のひらで示す |
| 依頼への返事 | かしこまりました | 「分かりました」より丁寧にする |
| すぐ答えられないとき | 私では分かりかねますので、担当の者に確認をして参ります | 推測で答えない |
| 待っていただくとき | 恐れ入りますが、今しばらくお待ちいただけますでしょうか | 理由と対応を伝える |
| 電話を聞き直すとき | 恐れ入ります。お電話が少し遠いようですので、もう一度お願いします | 相手を責めない言い方にする |
| 確認するとき | 復唱させていただきます | 名前・場所・時間を曖昧にしない |
| お礼をいただいたとき | こちらこそ、ありがとうございました | 落ち着いてお辞儀をする |
会社によって定型文は異なります。まずは自分の勤務先の言い方を覚えれば大丈夫です。
ご遺族への声かけで私が意識したこと
最初の挨拶は「お世話になります」
通夜や告別式でご遺族に初めてお会いしたときは、「お世話になります」と挨拶しました。長いお悔やみの言葉を自分から続けるのではなく、その日の担当として必要な案内へ進みました。
私は式典スタッフとしてご遺族をお迎えする立場でした。参列者として弔問する場合とは、挨拶の目的が異なります。
移動をお願いするときは短く分かりやすく伝えた
移動をお願いするときは、「こちらにお願いします」と伝えていました。急いでいるときも、背後から大声で呼んだり、歩きながら説明したりしないようにしました。
案内先は指で差さず、手のひら全体を使って示しました。言葉と手の動きを合わせると、初めて来た式場でも方向が伝わりやすくなります。
分からないことは担当者へ確認した
ご遺族から自分では判断できない質問を受けたときは、次のように答えました。
私では分かりかねますので、担当の者に確認をして参ります。恐れ入りますが、今しばらくお待ちいただけますでしょうか。
分かったふりをして誤った案内をすると、式の進行や手配に影響します。「確認して参ります」と次の対応まで伝えることが大切でした。
悲しみへ踏み込みすぎず必要な案内をした
私はご遺族に「頑張ってください」「お気持ちは分かります」などと声をかけたり、自分の体験を話したりしませんでした。必要な案内だけを、穏やかに伝えました。
式後に決まった声かけをすることも、特にありませんでした。ご遺族から「ありがとう」「お世話になりました」と言われた場合は、「こちらこそ、ありがとうございました」と返していました。
参列者への受付・座席案内で使った言葉
受付カードへの記入をお願いした
参列者には、最初に受付カードへ記入していただきました。
こちらで受付のカードにご記入をお願いします。ご記入いただきましたら、カードをお持ちになって、こちらで受付をお願いします。
一度に説明しすぎず、「記入する場所」と「記入後に受付する場所」を手のひらで示しました。年配の方も多かったため、ゆっくり、はっきり話しました。
前方の空席へ案内しても無理強いはしなかった
一般の参列者は、基本的に親族席の後ろへ自由に座っていただきました。前方があまりに空いている場合は、空席を手のひらで示しながら「どうぞ、こちらにお願いいたします」と声をかけました。
ただし、移動を無理強いはしませんでした。参列者の事情や故人様との関係は、スタッフには分からないこともあるためです。
席を詰めてもらうときは両隣へ配慮した
席を詰めていただく場合は、「恐れ入りますが、お詰めいただいてもよろしいでしょうか」とお願いしました。移動先の隣に座っている方にも、「恐れ入ります」と声をかけました。
私はお焼香の案内を担当することはほとんどありませんでした。案内した際は、手のひらで進む方向を示し、「どうぞ、続いてお進みくださいませ」と伝えていたと思います。
住職を控室へ案内するときの言葉
控室までは「こちらでございます」と案内した
住職をお迎えしたときは、「お世話になります。こちらでございます」と挨拶し、控室へ案内しました。
急いで先を歩きすぎず、付いて来られているかを確認しながら進みました。ドアや曲がり角では、手のひら全体で方向を示しました。
入室時は「失礼いたします」と声をかけた
控室へ入り、接待や確認をするときは、「失礼いたします。本日はよろしくお願いいたします」と伝えました。
住職への呼び方や対応は、宗派や地域、勤務先によって違います。分からないまま独自の呼び方をせず、担当者へ確認してください。
葬儀依頼の電話で使った言葉
葬儀の依頼電話を受けたのは、式典スタッフではなく事務を担当していたときです。葬儀依頼の電話は、通常の問い合わせより優先して対応しました。
最初に「ご愁傷様です」と伝えた
亡くなったという連絡を受けたときは、最初に「ご愁傷様です」とお伝えしました。その後、確認が必要な項目を聞いてもよいか伺いました。
こちらからいくつかお伺いしたいことがございますので、お話しさせていただいてよろしいですか。
電話をかけてきた方は、悲しみや動揺の中にいる場合があります。早口で次々と質問せず、相手の返事を待ちながら進めました。
故人様の名前とお迎え先を確認した
私は当時、「お亡くなりになられた方のお名前をお願いします」「お迎えに行かせていただくのはどちらでございますか」と確認していました。
今振り返ると、少し長い言い方です。マニュアルを作るなら、次のように短くすると聞き取りやすくなります。
故人様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。
お迎え先はどちらでしょうか。
故人様の名前、依頼者の名前、連絡先、お迎えに行く場所と時間、安置先を確認し、お客様、搬送業者、担当社員の時間を合わせました。
聞き取れないときは曖昧にしなかった
電話が聞き取りにくいときは、次のように聞き直しました。
恐れ入ります。お電話が少し遠いようですので、もう一度お願いします。
相手の話し方を責めるのではなく、電話の状態を理由にしてお願いしました。名前や住所を推測で記録することはしませんでした。
名前・場所・時間は必ず復唱した
重要な内容を聞いた後は、「復唱させていただきます」と伝え、必ず確認しました。特に固有名詞、電話番号、お迎え場所、時刻は、一つずつ読み上げました。
電話対応の基本と聞き間違いを防ぐ方法は、パートの電話対応が怖い人へ|聞き取れない時の言い方とメモのコツでも詳しく紹介しています。
葬儀パートで避けたい言葉と丁寧な言い換え
直接的な表現は避け「故人様」と呼んだ
私は「死ぬ」ではなく「お亡くなりになる」と言い、ご遺族の前では「故人様」と呼んでいました。
「ご遺体」という言葉が必ず失礼という意味ではありません。場面や勤務先によって使い分けます。お客様に対する呼び方は、自分で決めずマニュアルを確認してください。
普段の返事を接客用の言葉へ置き換えた
| 避けた言い方 | 仕事で使った・使いやすい言い方 |
|---|---|
| 分かりました | かしこまりました |
| 分かりません | 私では分かりかねますので、担当の者に確認して参ります |
| ちょっと待ってください | 恐れ入りますが、今しばらくお待ちいただけますでしょうか |
| あちらへ行ってください | こちらにお願いいたします |
| もう一度言ってください | 恐れ入ります。お電話が少し遠いようですので、もう一度お願いします |
| 死んだ方 | 故人様/お亡くなりになった方 |
「分かりました」が間違いというわけではありません。私は葬儀の接客では、より改まった「かしこまりました」を使っていました。
重ね言葉や宗教による表現にも注意する
一般的な葬儀マナーでは、「重ね重ね」「たびたび」など、不幸が重なることを連想させる言葉を避ける考え方があります。また、「ご冥福」のように宗教によって扱いが異なる表現もあります。
全日本葬祭業協同組合連合会の解説でも、忌み言葉や宗教・宗派に合わない表現、死因や私生活への詮索などが注意点として挙げられています。
ただし、私の研修やマニュアルで忌み言葉を細かく暗記した記憶はありません。現場では定型文を使い、迷ったら先輩や担当者へ確認するほうが安全でした。
言葉と同じくらい大切だった話し方と所作
ゆっくり、はっきり話した
参列者は年配の方も多かったため、どちらかというと少し大きめの声で、ゆっくり、はっきり話しました。ただし、式中は静かなので、必要以上に声を響かせないよう場面に合わせました。
表情は穏やかに保った
葬儀だからといって、暗い表情を作り続けたわけではありません。笑顔を強く出すのでもなく、相手が話しかけやすい穏やかな表情を意識しました。
お辞儀は歩きながらせず立ち止まった
お辞儀をするときは歩きながら頭だけを下げず、一度立ち止まってから行いました。急いでいるときほど、動作が雑に見えないようにしました。
方向は指差しせず手のひらで示した
式場、受付、座席などの方向を示すときは、人差し指で指さず、指をそろえた手のひら全体で案内しました。
葬儀パートの仕事内容や現場で求められた対応力は、葬儀関係のパートはきつい?仕事内容と10年働いて分かったことで詳しく紹介しています。
言葉遣いには3~4日ほどで慣れた
基本の言葉はマニュアルで覚えた
私の職場では、基本の言葉遣いをマニュアルで確認したと思います。すべての場面を丸暗記するのではなく、挨拶、案内、返事、確認など、よく使う言葉から覚えました。
同じ言葉を使ううちに自然に出るようになった
最初は意識して話していましたが、3~4日ほどで「お世話になります」「かしこまりました」「恐れ入ります」といった言葉が自然に出るようになったと思います。
覚える速さには個人差があります。すぐに出てこなくても、よく使う定型文をメモして繰り返せば、少しずつ慣れていきます。
ホテルと飲食店の接客経験が役立った
以前のホテル勤務や飲食店での接客経験は役に立ちました。言葉遣いの基本が身についていたことと、お客様へ話しかけることにそれほど抵抗がなかったからです。
一方で、葬儀には独特の雰囲気と注意点があります。接客経験があっても「前の職場ではこうだった」と決めつけず、教えてもらう立場で覚えました。
未経験者が言葉遣いを覚えるための準備
よく使う定型文を場面別にメモする
受付、座席案内、電話、担当者への取り次ぎなど、場面別に短い定型文をまとめると覚えやすくなります。
- 挨拶:お世話になります
- 返事:かしこまりました
- 案内:こちらにお願いいたします
- 保留:担当の者に確認して参ります
- 復唱:復唱させていただきます
言葉遣いを自宅でも確認したい方は、接遇や冠婚葬祭のマナー本を一冊手元に置く方法もあります。
接客や葬儀の言葉遣いを自宅でも確認したい方は、冠婚葬祭や接遇のマナー本を比較できます。
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分からないときに確認できる人を把握する
葬儀の仕事では、分からないことを勝手に判断しないことが大切です。式の担当者、先輩、事務担当など、内容ごとに誰へ確認すればよいかを最初に聞いておきましょう。
事務業務で扱った電話、発注、清算などの詳細は、葬儀事務パートの仕事内容|未経験から一人で任されるまでで紹介しています。
葬儀パートの言葉遣いに関するよくある質問
接客未経験でも言葉遣いを覚えられますか?
覚えられると思います。私は接客経験があったため3~4日ほどで慣れましたが、まずは頻繁に使う短い言葉からで大丈夫です。研修の有無と、マニュアルを見られるかを応募前に確認すると安心です。
忌み言葉をすべて暗記する必要がありますか?
私の勤務先では、細かな言葉をすべて暗記した記憶はありません。基本の定型文を使い、宗教や地域に関わる表現で迷ったら、担当者へ確認していました。
ご遺族を励ましてはいけませんか?
励ましが常に間違いという意味ではありません。ただし、スタッフはご遺族との関係やお気持ちの状態を十分に知りません。私は自分の体験や励ましを伝えず、必要な案内を丁寧に行いました。
小さな声で話したほうがよいですか?
場面によります。式中は静かな声を意識しますが、受付や移動案内では年配の参列者にも聞こえることが大切です。私は周囲へ響きすぎない範囲で、少し大きめにはっきり話しました。
まとめ:ゆっくり丁寧に話し、迷ったら確認する
葬儀パートの言葉遣いで、私が最も大切だと感じたのは、行動と話し方をゆっくり丁寧にすることです。
- ご遺族には「お世話になります」と短く挨拶する
- 参列者には受付や座席の流れを分かりやすく案内する
- 「分かりました」ではなく「かしこまりました」を使う
- 名前、場所、時間は必ず復唱する
- 分からないことは勝手に判断せず、担当者へ確認する
- 声の大きさ、穏やかな表情、立ち止まってするお辞儀も意識する
最初から完璧である必要はありません。勤務先の定型文を一つずつ覚え、先輩の話し方と所作をまねるうちに慣れていきます。