「葬儀関係のパートは、精神的にも体力的にもきついのでは?」
「未経験の50代でも働けるのだろうか」
求人を見て興味を持っても、仕事内容を想像しにくく、応募を迷う方もいるのではないでしょうか。
私は50代のとき、未経験から葬儀関係のパートを始めました。最初は式典スタッフとして参列者の案内などを担当し、その後は事務や発注、葬儀の事前相談なども任されるようになりました。約10年間で、500件以上の葬儀に携わっています。
葬儀関係の仕事には、ご遺族から感謝の言葉をいただけるやりがいがあります。一方で、ご遺体を間近で見ること、長時間の立ち仕事、急な勤務予定、宗教や宗派の違いなど、働く前には分からなかった大変さもありました。
この記事では、私が実際に担当した仕事内容、きついと感じたこと、勤務時間や収入、向いている人、応募前に確認したいことをお伝えします。
勤務先や求人によって担当範囲は異なります。ここで紹介する勤務時間や働き方は、私が働いた職場での体験です。応募する際は、求人票と面接で実際の条件を確認してください。
結論:やりがいはあるが、急な予定と心身の負担を確認して選びたい仕事
葬儀関係のパートは、未経験から始められる求人もあります。しかし、「落ち着いた接客ができそう」という印象だけで選ぶと、働き始めてから戸惑うかもしれません。
私が約10年間働いて特に感じたのは、次の点です。
| 確認したい点 | 私の勤務先での実情 |
|---|---|
| 主な仕事 | 受付・案内、ご住職への接待、式の進行に合わせた案内、式後の片付けなど |
| 出勤の連絡 | 葬儀があるときに、前日に連絡が来ることが多かった |
| 1回の勤務時間 | 通夜3~4時間、告別式5~6時間、式を2件担当すると約8時間 |
| 予定変更 | 式の進行によって時間が延びる場合があった |
| 給与 | 時給制。葬儀の件数によって月収に差があった |
| 資格・搬送 | 私のパート業務では資格は不要で、運転や搬送も担当しなかった |
| 特に大変だったこと | ご遺体への戸惑い、失敗できない緊張、長時間の立ち仕事、急な予定 |
短時間だけ働ける日がある一方、式が続けば拘束時間が長くなることもあります。毎月決まった日数・時間で働きたい方や、安定した月収が必要な方は、特に条件確認が必要です。
反対に、周囲の様子に気づいて動ける方、急な予定変更へ無理のない範囲で対応できる方、人を支える仕事に意味を感じる方には、経験を積むほど仕事の幅が広がる可能性があります。
葬儀関係のパートはどんな仕事をする?
葬儀関係の求人には、セレモニースタッフ、葬儀アシスタント、会館スタッフ、受付、事務など、さまざまな名称があります。同じ名称でも、実際の担当範囲は勤務先によって異なります。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、葬祭の仕事として、会場設営、宗教者との打ち合わせ、必要資材や生花の手配、参列者の案内、式の進行補助、式後の手続きなど、幅広い業務が紹介されています。
ただし、これは葬祭ディレクターを含む一般的な仕事内容です。パートがすべてを担当するわけではありません。私も、運転やご遺体の搬送は担当していませんでした。
参考:厚生労働省 職業情報提供サイト job tag「葬祭ディレクター」
働き始めた頃に担当した仕事
私が最初に担当したのは、主に式典を支える仕事です。
- 参列者の受付と案内
- ご住職への接待
- 開式から出棺まで、進行に合わせた案内
- 式後のお供えのかご盛りを崩す作業
- 会場の掃除
先輩の指示を待つだけでなく、参列者が迷っていないか、体調が悪そうな方はいないかなど、会場全体を見る必要がありました。
たとえば、場所が分からず周囲を見回している方がいれば、声をかけて案内します。体調が悪そうな方に気づいた場合は、座れる場所へ案内したり、ほかのスタッフへ知らせたりします。
大きな声で明るく接客する仕事とは違い、その場の雰囲気を読み、ご遺族や参列者の気持ちを考えながら、控えめかつ迅速に動くことが求められました。
経験を積んでから任された仕事
仕事に慣れてからは、式典の案内だけでなく、次の仕事も任されるようになりました。
- 葬儀の事前準備
- 返礼品の用意
- 供花・供物の発注
- 電話対応
- 葬儀の事前相談
- 在庫管理と発注
- 精算業務
発注の数量や名前を間違えないこと、予定に合わせて準備を整えることなど、事務にも正確さが必要です。
私は以前、ホテルのフロント兼予約業務を経験していました。そこで身につけた電話対応、予約管理、複数の仕事の優先順位を考える力は、葬儀関係の仕事でも役立ちました。
未経験の仕事でも、これまでの接客や事務の経験が生かせる場合があります。
葬儀関係のパートをきついと感じた6つの理由
ご遺体を間近で見ることに戸惑った
未経験だった私が最初に戸惑ったのは、ご遺体を間近で見ることです。
仕事だと分かっていても、初めから抵抗なく受け入れられたわけではありません。葬儀関係の仕事では、ご遺体と接する範囲が担当によって異なります。
私のように搬送を担当しないパートでも、式場内でご遺体を間近にする場面はありました。強い抵抗や恐怖がある方は、応募前に「ご遺体と接する業務があるか」を具体的に確認したほうが安心です。
悲しみの中にいるご遺族への接し方が難しかった
ご遺族の悲しみ方や希望は、一人ひとり異なります。
励ますつもりでかけた言葉が、相手の気持ちに合わない可能性もあります。私は言葉を多くかけるより、必要なことを落ち着いて案内し、困っている様子があればすぐ動くことを心がけました。
ご遺族や参列者の表情、動き、声の様子を見ながら対応するため、マニュアルだけでは判断できない場面もあります。
やり直しができない緊張感があった
葬儀は、ご遺族にとって大切な一度きりの儀式です。
案内するタイミング、返礼品や供花の手配、式の進行などで間違いが起きないよう、常に確認が必要でした。
式が始まると、途中で最初からやり直すことはできません。予定外のことが起きても、会場の雰囲気を乱さず、ほかのスタッフと連携しながら対応する緊張感がありました。
宗教・宗派による違いを覚える必要があった
葬儀の流れや準備は、宗教や宗派によって異なります。
未経験の頃は、一度説明を聞いただけですべて理解することはできませんでした。簡単なマニュアルはありましたが、私は先輩と一緒に式へ入り、動きをまねしながら覚えました。
現場を見て、一つずつ流れを確認し、分からないことを聞きながら実践することの繰り返しでした。
長時間の立ち仕事と式後の片付けがあった
式典中は立っている時間が長くなります。
告別式を担当した日は5~6時間ほど、式を2件担当すると約8時間になりました。通夜と告別式が連日続き、8時間を超えて拘束されることもありました。
式が終わればすぐ帰れるとは限りません。お供えのかご盛りを崩す作業や、会場の掃除もあります。緊張が解けた後の片付けを含め、体力が必要な仕事だと感じました。
予定と収入が安定しにくかった
私が式典スタッフとして働いていたときは、葬儀がある日だけ仕事の連絡が来ました。連絡は前日で、都合が悪いときは断ることができました。
断っても気を使うことはなかったため、予定が合えば働ける点は助かりました。一方で、葬儀の件数によって仕事量が変わるため、月ごとの収入にはかなり差がありました。
また、式の進行によって終了時刻が延びることもあります。決まったシフトと収入を希望する方には、働き方が合わない可能性があります。
私が働いた式典スタッフの勤務時間と給与
私の勤務先では、勤務時間の目安は次のとおりでした。
| 担当 | 勤務時間の目安 |
|---|---|
| 通夜 | 3~4時間 |
| 告別式 | 5~6時間 |
| 式を2件担当 | 約8時間 |
| 通夜・告別式が連日ある場合 | 8時間を超えることもあった |
給与は時給制でした。
葬儀が多い月は勤務時間が増えますが、少ない月は収入も減ります。固定シフトのパートと同じ感覚で考えると、月収の差に戸惑うかもしれません。
求人を見るときは、時給だけでなく、次の点も確認することをおすすめします。
- 月に何日程度の勤務が見込めるか
- 最低勤務時間や保証時間があるか
- 葬儀がない日に事務や清掃などの仕事があるか
- 出勤の連絡は何日前に来るか
- 都合が悪い場合に断れるか
- 予定より式が延びた場合の扱い
毎月必要な収入を先に計算し、この働き方で足りるか考えることも大切です。
未経験でも働けた?研修と資格について
私は葬儀関係の仕事が未経験でしたが、働き始める前に葬儀関係の資格は持っていませんでした。担当したパート業務では、資格を求められず、車の運転やご遺体の搬送もありませんでした。
厚生労働省のjob tagでも、葬祭スタッフとして働くために特定の学歴や資格は通常必要とされず、実務経験を積みながら社内研修や先輩の指導で知識と技術を身につける流れが紹介されています。ただし、「葬祭ディレクター」と名乗るには、所定の技能審査への合格が必要です。
私の勤務先でも研修がありました。
最初は先輩と一緒に式へ入り、立つ位置、案内のタイミング、ご住職への対応、式の流れを見ながら覚えました。
簡単なマニュアルはありましたが、実際には現場で確認しながら身につけることが多かったです。未経験者は、次の点を応募前に聞いておくと安心です。
- 研修期間はどれくらいか
- 最初は先輩と一緒に勤務できるか
- マニュアルがあるか
- 宗教・宗派や接客マナーを教えてもらえるか
- 一人で担当するのはいつ頃からか
- 困ったときに相談できる責任者がいるか
50代から未経験の仕事へ応募するときに確認したことは、50代女性が未経験でパートに応募するときに意識した5つのことでも紹介しています。
葬儀関係のパートに向いている人
約10年間働いた経験から、次のような方は葬儀関係の仕事に向いていると感じます。
周囲を見て先回りできる人
指示を待つだけでなく、ご遺族や参列者の様子を見て動く場面があります。
迷っている方、体調が悪そうな方、何かを探している方に気づき、必要な対応を考えられる力が役立ちます。
落ち着いて丁寧に対応できる人
慌ただしい場面でも、大きな声や急な動きでご遺族を不安にさせない配慮が必要です。
落ち着いた言葉遣い、清潔感、控えめな立ち振る舞いを意識できる人は、経験を生かしやすいと思います。
予定変更へ柔軟に対応できる人
葬儀は急に決まり、式の時間が延びることもあります。
家庭や体調に無理のない範囲で、前日の連絡や勤務時間の変更に対応できる人には選択肢になります。
確認を怠らず、臨機応変に動ける人
葬儀では正確さが必要ですが、マニュアルに書かれていない状況も起こります。
分からないことを勝手に判断せず確認しながら、必要な場面では周囲と連携して動けることが大切です。
葬儀関係のパートを慎重に考えたい人
次のような方は、仕事内容を詳しく確認してから応募したほうがよいと思います。
- ご遺体を見ることへの抵抗が強い
- 葬儀社で働くこと自体に抵抗がある
- マニュアルどおりに進まないと強い不安を感じる
- 急な出勤や終了時間の変更が難しい
- 毎週決まった曜日・時間に働きたい
- 毎月安定した収入が必要
- 長時間の立ち仕事が体力的に難しい
抵抗があることは、悪いことではありません。仕事を長く続けるには、自分の性格、体力、生活に合っているかを正直に考えることが大切です。
葬儀関係以外の仕事とも比べたい方は、50代女性におすすめのパート5選|経験・体力・時間から選ぶコツも参考にしてください。
応募前に確認したい8つのこと
私は働き始めてから、拘束時間や急な延長、担当する業務範囲を、もっと具体的に確認しておけばよかったと思いました。
面接では、次の8点を確認することをおすすめします。
- 受付、案内、配膳、清掃、事務など、担当する具体的な仕事
- ご遺体と接する業務、運転、搬送の有無
- 出勤の連絡が来る時期と、都合が悪い場合に断れるか
- 通夜・告別式それぞれの平均的な拘束時間
- 式が延びた場合、どのくらい勤務時間が延長されるか
- 月の勤務日数・時間の目安と、収入が少なくなる時期
- 研修、マニュアル、先輩の付き添い期間
- 服装、靴、髪型など、勤務時に用意するもの
面接で質問することは、働く意欲がないという意味ではありません。長く続けるために、自分の生活と仕事の条件が合っているか確認する大切な機会です。
面接の準備については、50代女性のパート面接でよく聞かれる質問5つ|答え方と事前準備で詳しくまとめています。
きつくても約10年間続けた理由
葬儀関係のパートは、私にとって決して楽な仕事ではありませんでした。
それでも続けた理由の一つは、ご遺族から感謝の言葉をいただいたときに、仕事の意味を感じられたことです。
最初は何も分かりませんでしたが、少しずつ式の流れを覚え、案内だけでなく、事前準備、発注、電話対応、事前相談、精算まで任されるようになりました。マナーや言葉遣い、立ち振る舞いが身についたことも、私にとって大きな経験です。
一方で、前向きな理由だけで続けたわけではありません。
一通り仕事ができるようになった後、新しい職場へ移ることに不安がありました。長く働いたからといって、すべてが自分に合っていたと美化するつもりはありません。
きつい面とやりがいの両方があり、その時々で迷いながら続けた約10年間でした。
よくある質問
葬儀関係のパートは未経験でも応募できますか?
未経験者を募集している求人はあります。私も50代・未経験から採用されました。
ただし、研修方法や担当業務は勤務先によって異なります。「未経験可」という言葉だけで判断せず、先輩と一緒に働ける期間や研修内容を確認しましょう。
葬儀関係の資格は必要ですか?
私が担当したパート業務では必要ありませんでした。厚生労働省のjob tagでも、葬祭スタッフとして働き始めるために特定の学歴や資格は通常必要とされないと紹介されています。
ただし、資格を必要とする職種や、運転免許を応募条件にしている求人もあります。求人票の応募条件を確認してください。
50代からでも働けますか?
私は50代で採用され、約10年間働きました。
年齢だけで決めるのではなく、立ち仕事へ対応できる体力、勤務できる時間、接客経験、丁寧な言葉遣いなど、自分の経験を具体的に伝えることが大切です。
毎月安定して稼げますか?
私の式典スタッフ時代は葬儀がある日だけ呼ばれたため、月によって収入にかなり差がありました。
固定シフト、最低勤務日数、保証時間、事務などの固定業務があるかによって変わります。安定した収入が必要な方は、応募前に必ず確認してください。
まとめ
葬儀関係のパートは、ご遺族や参列者を支える意味のある仕事です。私は50代・未経験から始め、約10年間で500件以上の葬儀に携わりました。
働いて分かった主な注意点は、次のとおりです。
- ご遺体を間近で見ることへの精神的な負担がある
- ご遺族への接し方や宗教・宗派の違いを学ぶ必要がある
- やり直せない式を支える緊張感がある
- 長時間の立ち仕事や式後の片付けがある
- 急な出勤や勤務時間の延長がある
- 葬儀の件数によって収入に差が出る場合がある
その一方で、周囲へ配慮する力、マナー、言葉遣い、臨機応変な対応力を身につけられました。ご遺族から感謝の言葉をいただいたときには、大きなやりがいも感じました。
応募する前に、仕事内容、拘束時間、予定変更、研修、月の勤務時間を具体的に確認してください。「葬儀関係だから安定している」「パートだから簡単」と決めつけず、自分の生活と体力に合う求人を選ぶことが、長く続けるために大切です。